『鍼(ハリ)って何で効くの? コワイの?』(ちょっと長いですが・・)

 

図①

写真②

だって・・・『鍼灸(しんきゅう)治療は痛い!コワイ!』

 

よく聞きます。確かにうちでも聞きます。 それもかなりたくさん・・・。

 

かたくなに、かたくなに・・・超かたくなに拒否するお客様、確かにいます。(笑)

モチロン、うちではそのような人には強要はしませんが・・・

 

・・・で、ここでちょっとハリの形状の話し・・・

ハリというと、注射針みたいなのを思い浮かべる方が多いと思います。

 

それは「鍼=注射針または裁縫で使う針」を連想し、注射針と同じような痛みを想像されているからだと思います。

 

でも実際には、図①のように鍼灸のハリと注射針(と、その他)は、太さにこれだけの差があります。

 

私達が予防接種などで採血をするときに使われる注射針が、直径0.4~0.8ミリと言われています。これに対し、一般の鍼灸院使われる鍼は、直径0.16~0.2ミリ程度のモノです。

 

これは髪の毛ほどの太さであり、注射針の1/6~1/2の細さになります。

 

注射針によっては、穴に入ってしまう程細いんです。(写真②参照)

 

なので、鍼を刺入するときの痛みは、皆さんが想像されるようものではありません。

 

・・が、ヒフの表面には痛みを感じる『痛点』が数多くあり、どん~なに細い鍼を使っても、この痛点を完全に避けることは出来ません。

 

稀にこの痛点にあたってしまった場合、痛みを訴えることもありますが、鍼灸のハリは細いぶん、柔らかくしなるのと、痛点はある一定以上の刺激でなければ反応しないため、それ以下の刺激は痛みを痛みとして感じません。

 

実際に注射は(太いので)・・・グサッ!「痛~いっ!」ですが、ハリは感じたとしてもせいぜい10本刺しても1、2本くらいが、「チクッ!?(毛抜きで毛を抜いたくらい!?)」の痛みで、あとはいつ刺したのかわからない・・・がほとんどです。

 

どうか、くれぐれも縫い針とかのアレを想像しないで下さいね。

(アレは確かに痛い!)


さて、もう一つ・・・

ハリが、何故体に効くのかをお知りになりたい方も多いかと思います。

 

ハリは、ほんの数十年前でさえ、「非科学的!魔法?それともオカルト?」という目でみられていました。

 

でも、その後の鍼灸の勉強熱心な研究者の方々のおかげで、今ではハリを刺すことで起こる生体反応の科学的な理論が少しづつ証明され、鍼灸は見直されてきています。

 

確かに鍼灸を含む東洋医学は、未だに現代の医学・科学では説明出来ない効果があるのも事実ですが(例えば・・・東洋医学では胃につながっているとされている足のツボの刺激で胃腸の調子がよくなったり(西洋医学的には何故だかわからない)、9ヶ月に入った妊婦の逆子を、お腹を一切触れずに足のツボ刺激だけで治したり等々・・)、それでも、鍼灸は決して『魔法』でも『オカルト』でもなく、あくまでも『生体に実質的刺激を用いた際に起きる反応』のひとつといえるのです。

 

そのハリ(鍼)を刺すことで起こる生体への反応の科学的な理論・・・これまでに分かっているのは次の通りです。

 

①鍼を刺した部分の筋肉が弛緩する。 (動物実験による) 

 

②鍼を刺した部分に『軸索反射』が起こり、血流が増加する。

 

③中枢神経系からモルヒネ様物質(エンドルフィン等)が分泌され、鎮痛作用が生じる 。 

 

④体性-自律神経反射により自律神経系に影響を与える。

 

以上、ここまで暑く(かなり暑苦しく)語っておいて何ですが、これら一つ一つの理論については専門的で、すごく、すごーく、すごーーく長くなるので、これらの具体的内容はガッツリ省きます。(笑)

(興味のある方は『鍼灸 科学的 効果etc・・・』とか、『軸索反射』とか、『鍼灸 エンドルフィン』とかで検索してみてくださいね。)

 

 

要は、「なんかよくわからんけど、パワー?エネルギー!?宇宙とか!?まぁ、そ〜んなこまかいことは言わんでも、効果あるんだからそれでいいでしょ!」的なものではなく、こういう研究による臨床実験や発表が長年に渡ってなされてきて、鍼灸の今がある・・・ということなのです。

 

ただ、私自身は毎回鍼灸治療が初めてのお客様には、簡単に『ハリは、体にとってはエイリアン(異物)みたいなもので、地球防衛軍ならぬ、体内防衛軍がこれに対処するようなもの』なのだとお伝えしています。

 

例えば体に細菌やウイルスが入ったり、または損傷(ケガや炎症など) した場合、それを脳が感知し、それらをやっつけたり、または修復するさまざまな物質を現場へ向かわせ、迅速に処理するという、いわゆる『免疫機能』が人間をはじめとするあらゆる生き物には備わっています。

 

ハリの場合もやっぱり同じで、体の中に入ってくる(しかもヒフの組織をぶっ壊しながら侵入してくる)と、体は免疫機能が働きます。

 

この時、免疫力によって弱い細菌などはやっつけられますが、さすがにハリは溶かされたり、やっつけられてしまうことはありません。(マンガとかの刺されたり撃たれても死なない超人ならば可能!?)

 

ですが、ハリが刺さると、その(小さな)キズを修復するために、血液などが集まり、結果的に血流がよくなり、またハリを抜き去った後も刺さった筋肉の血流はよくなるので、コリや痛みが取れたりします。

 

そしてその後も当然、キズを完全に治すまで私達の体は細胞を活性化させようと必死で頑張ります。

 

顔のリフトアップ作用に顕著な結果をもたらす美容鍼は、まさにその作用を利用するので、小顔だけでなく美肌の効果も持続すると考えられています。

 

なので鍼灸は、そのため自然治癒力を高めるともいわれます。

 

確かにハリは『痛い・コワイ!イヤー!』のイメージがあります・・・が、昨今、『〇〇療法、これで治る!』とか、『奇跡の〇〇療法』や、『超◯◯術』とかいろいろな治療法が現れてはすぐに消えていく中、『やっぱり鍼灸だよねぇ』という声を私は鍼灸師になって29年あまり、何度も何度も何度も聞いてきたのも事実です。

 

あなたもどうか、怖がらずに鍼灸治療を受けてみて下さい。

 

もしかしたら、あなたの身体を癒してくれる最高の治療法なのかもしれません・・・

 

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

m(_ _)m

 


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